リンゴが教えてくれたこと (日経プレミアシリーズ 46) 新書 / 木村 秋則 (著)

   

2015-10-21-15.10ビギナーが基礎知識も無いままに、家庭菜園を始めると、
必ず何らかの問題に直面し、うまくいかない事が多い。

そこで、ネットや関連書籍から
その答えになる方法(栽培マニュアル)を見つけだし、
これを実践してみるというのが一般的なプロセスだと思う。

その際に、間違いなくインプットされるのは、
苦土石灰や堆肥、化成肥料(窒素、リン酸、カリウム)が
野菜づくりには必要不可欠なもの” だということだ。

ビギナーは栽培マニュアルに基づき、
苦土石灰を撒き、堆肥・化成肥料を混ぜて畝を造り、
マルチ掛けをし、苗を定植し支柱を立て、防虫ネットを張り、
毎朝水をやり、脇芽を摘み、土を寄せ、定期的に追肥をする。

すると、効率よく野菜が収穫できる様になるものだから、
これが家庭菜園の常識となる。


 

本書は、そんな常識を打ち破り、
絶対不可能と言われたリンゴの無農薬・無肥料栽培を成功させた著者が、
苦難の歴史、独自の自然観を、経験に裏づけされた自らの言葉でつづり、

“常識化した非常識”

つまり、農薬と肥料に依存する慣行農法に対し警鐘を鳴らす内容となっている。


 

現在の農法は、収益の最大化(人間都合)のために肥料・農薬を施し、
その結果、土が痩せ、病害虫を誘発し、
更に肥料・農薬を投入するという悪循環に嵌っている。

植物は、欲しいときに必要な量だけ養分を吸収するのであって、
過剰な肥料の散布は、土壌微生物群の生態系を乱している。

本来、雑草、虫、動物、微生物の全てが各々に役割を持ち、
その営みに無意味なものなど一切無く、
全てが自然という調和の元に生を受けているのであって、
これを人間が支配するものではない

人間は謙虚であるべきだ。
“「環境のお手伝いをする」ぐらいの気持ち”

が大切なんだと木村さんは説く。


 

なんだか、宮崎アニメを頭に思い浮かべながら読んだ。
そして、ビジネスや人間関係、子育てなんかに当てはめて考えても
スッと腹に落ちる内容だった。

この地球で、私達が共存共栄していくためには一体何が大切なのか。
何を大切にすべきなのか。

ビジネス書では無く、木村さんの書き下ろしのため?
編集の構成がイマイチで、話が前後したり、横に飛んだりなど、
その部分だけはマイナス評価だが、なかなかの良書となっている。

家庭菜園3年目の今年、自分の庭も生態系が乱れてきている気がする。
自然との付き合い方、少しは変えてみようかなぁ・・・なんてね。

Phylloxera評価 ★★★☆☆

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