ボルドーワイン品質の方程式 経済学者 オーリー・アッシェンフェルター 「その数学が戦略を決める 」より

   

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本書は、ビッグデータ時代の今、データベースによる統計学が
専門家の直感や経験以上の結果を導き出していることを踏まえ、
職人的直感、経験だけに頼らず、データベースを積極活用し
さらに良い結果を生み出すべきである。

・・・という様な内容を、

「経験と直感による専門家」VS「ビックデータ統計学者」という構図で
実例を複数上げて分かり易く説明しているのだが、

その実例の序章を飾っているのが

世界有数の計量経済学の権威「オーリー・アッシェンフィルター」と
ワイン評論家達(特に ロバート・M・パーカー・Jr)についての話だ。

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遡ること1980年代

プリンストン大学の経済学者オーリー・アッシェンフェルターは、
“飲むこと以外”も含めて、無類のワイン好きだった。
つまり彼は、“ワインの将来価値への投資”についても
非常に関心があったわけだ。

“一体どのヴィンテージを寝かせておけば価値が上がるのか?
ワインは農産品だから、年ごとの気候に影響を受ける筈だ”

そこで、彼は過去数十年のボルドー地方の気象情報に着目し、
ワイン競売価格の高低とどのように相関しているのかを
重回帰分析し、ある方程式を導き出した。

a葡萄を収穫する前年の冬の降雨量が多いほど、ワインの価格は高くなる傾向にある
(正の相関)

 

c葡萄の育成期の気温が高いほど、ワインの価格は高くなる傾向にある
(正の相関)

 

b葡萄の収穫前の降雨量が多いほど、ワインの価格は低くなる傾向にある
(負の相関)

 

その方程式は↓のもので、

ボルドーワインの品質
= -12.145+0.00117×【収穫する前年の冬の降雨量】
+0.616×【育成期平均気温】
-0.00386×【収穫期の降雨量】

この方程式にお望みのヴィンテージの気象条件を入れれば、
大まかなボルドーワインの品質を簡単に予測できるというもの。

彼はこの予測を半年ごとのニュースレターで発表するようになったのだが、
当初、伝統的なワイン専門家たちは、オーリーのデータ主導予想に対して
真っ向から否定、「激怒から爆笑の間くらい」とした。

またパーカーポイントでご存じ、ロバート・M・パーカー・Jrは
「映画そのものを観ずに、役者や監督をもとにして映画の善し悪しを語ろうとする
映画評論家みたいなものだ。野蛮極まりない。」と言い放った。

しかし、彼らがここまで否定する根拠は一体何なのか?

それは当時、ワインの評価額を知るには専門家の見立て技能に頼るしかなく、
ワイン市場を思い通りに操作できることが、彼らの利権でもあったからなのだ。

そして1990年代初頭

「ニューヨークタイムズ誌」が一面記事でオーリーの理論を取り上げたことにより、
データ主導予測が大きく注目されることになる。

特に記事内でオーリーは、

1986年物のボルドーワインについてロバート・M・パーカー・Jrは「上質、時にずば抜けている」としたが、育成期の気温が低かったのと、収穫期に降雨が平均以上だったので「せいぜいが凡庸」

また、評論家すらまだ試飲出来ていなかった1989年物ボルドーに関しての予測を

1961年の素晴らしいとされるボルドーが100%としたら、1989年のボルドーは149%、「驚異的な質のワインになる」

と断言してみせた。

この内容に、市場操作でこれまで利益を得ていたワイン専門家たちは激怒し、
生産地では怒りと恐怖に慄いた。

だが、その後この2つの予測はどちらも正しかったことが見事証明されたのだった。

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現在(まとめ)

伝統的なワイン専門家たちの予想も、
生産地の気象条件を大幅に勘案したものになっているのだが、
僕的には、その常識だと思っていた「気候とワインの関係」が
わずか20数年前までは非常識だったという事実に驚かされた。

気候に影響を受けるというのは農産物の大前提だ。
これは家庭菜園などで、植物の育成経験があると理解が早い。
それにプラスして、土壌・微生物や、栽培・醸造技術などの要因が加わる。

いや、実際はビッグデータ時代以前からワイン専門家たちには
解りきっている事実であっただろう。
況して、ワイン専門家たちはビニュロンとの交流が当然ある訳で。

いかに数学的分析をせず、職人的感覚や経験値に頼ってきたか、
或いは、利権が邪魔をしてきたかということなのだろう。

一方、その後のロバート・M・パーカー・Jrだが、
今も変わらず市場に多大な影響を及ぼし続けている点も見逃せない。

つまり彼は、味覚・嗅覚といった職人的感覚や経験値だけでなく、
データでそれを補った評価基準(パーカーポイント)へと変貌を遂げた
革新者、勝ち組ということなのだろか?・・・

END

Phylloxera評価 ★★★☆☆

実は、これ以外の章を読んでません・・・・m(__)m

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