ティボー・リジェ・ベレール 来日セミナーレポート その3

      2016/04/29

ニュイ・サン・ジョルジュ

Nuits-Saint-Georges

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Nuits-St.-Georges La Charmotte 2012

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ニュイ・サン・ジョルジュからご紹介する1つ目のワインは、
La Charmotteというビラージュのワインです。

このLa Charmotteは、ニュイ・サン・ジョルジュの北部、
ヴォーヌ・ロマネ側にある畑で0.4haを所有しています。
プリュミエクリュのオー・ブースロに隣接しています。

山麓の下側にある区画ですが、土壌の深さは大変浅く40~50cm、
畑の土壌は赤い粘土質、酸化鉄が多く含まれており、
ワインに柔らかさとエレガンスを、
また一部、砂状に劣化した石灰質が表層にあり、その下が岩盤土壌で、
ここからは新鮮さや緊張感、余韻の長さを与えてくれます。

La Charmotteは収穫時期によりますが、30%全房発酵を行っているので
全房発酵の割合によってはレンガ色の色調がワインに見られます。

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ブドウの選定はとても丁寧に、手間をかけて行っています。

私の収穫チームには2つのチームがありまして、
1チームは収穫歴が10年以上からなるベテランチームになりますが、
彼らがまず畑に行き、最良の房を選びます。

最良の房はだいたい区画の中央にあり、濃厚な黒いブドウが取れます。
最初に選ばれたその房が全房発酵に使われます。

その収穫が終わったあとに、2チーム目が畑に行き、
残りの収穫をしていきます。
そこで収穫されたブドウは3回の選別を行います。

1回目は畑の中で、2回目は選別台で、そして最後は除梗後です。
醸造は3週間かけて行い、介入は少なくしています。

ニュイ・サン・ジョルジュの特徴としては、
逞しくしっかりとした骨組みの男性的なワインだとよく言われますが、
La Charmotteはしなやかでタンニンは硬くなく、
エレガントで余韻の長い味わいです。

Nuits-St.-Georges 1er Cru Les Saint-Georges 2012

imgrc0063448288※写真およびリンク先は2011年ヴィンテージ

そして最後にご紹介するのは、私のドメーヌの象徴といえるワイン、
1er Cru Les Saint-Georgesです。

私はニュイ・サン・ジョルジュの南端に位置する、
この1級畑全体の3分の1にあたる、約2haを所有しております。

ニュイ・サン・ジョルジュのテロワールは、中央から、
北部と南部の2つの区画に分けられます。

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北側(右)がボーヌ・ロマネの丘、そして南側(左)がニュイ・サン・ジョルジュの丘と
谷があるところを境に土壌、地質が変わるため、テロワールは全く異なります。

ヴォーヌ・ロマネの境界線に近いニュイ・サン・ジョルジュの北部(右)は
よりしなやかで、柔らかくエレガントな味わいです。

南部の畑(左)はニュイ・サン・ジョルジュらしい力強い骨格を持ったワインとなります。

(※ティボー氏はあえて、1er Cru Les Saint-Georgesの味わいには時間を割かず
Les Saint-Georgesのグランクリュ申請の経緯について詳細を話しました↓↓)


 

さて、この1er Cru Les Saint-Georgesですが
私は何年か前から、ここがグランクリュになるように活動をしております。

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写真はレ・サン・ジョルジュの標高の高い場所から東向きに撮影したものです。

ブルゴーニュの畑で大事なことは標高の高さで、
ここでは国道を境に、ブルゴーニュのアペラシオン(奥)と
クリュのアペラシオン(手前の赤・黄色部分)に分かれます。

そして、国道から手前の小道までの間の区画がヴィラージュ(赤色部分)、
小道より上がプルミエクリュ(黄色部分)になります。

1936年にブルゴーニュのアペラシオンが決められた際、
ニュイ・サン・ジョルジュはグランクリュに入りませんでした。

私はジュヴレ・シャンベルタンとニュイ・サン・ジョルジュについて、
スタイルの違いはあれど、品質の高さについて違いがあるとは思いません。

プルミエクリュにとどまったのは、経済状況と政治的な要因が理由です。

アペラシオンが決められた当時、世界恐慌の直後だったため、
ヴィニュロンはワインも売れず食べるものもない状況でした。
そんな中、唯一ブドウを買ってくれるのはネゴシアンだけでした。

ネゴシアンはニュイ・サン・ジョルジュが高価なグランクリュになることを嫌い、
「誰があなた達のワインを買ってやれると思っているのだ?」
と高圧的な態度で支配しました。
ヴィニュロンはグランクリュになることを諦め、それに従うしかありませんでした。

またプルミエクリュと比べ、税金が高くなってしまうといった状況もありました。

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上写真は1936年のアペラシオンが決められた以前の価格表です。

リシュブールとサン・ジョルジュの価格に大きな差がないことが分かると思います。
(※当時はサン・ジョルジュという名前)
また、リシュブールよりもロマネやラターシュ、クロ・ヴージョのほうが
高く売られていたことが分かります。

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そしてこちらはボルドーの有名シャトーとブルゴーニュの税額を並べた資料写真です。
1930年代の書類で、リジェベレール家のアーカイブから発見したものです。

オー・ブリオンが一番上(赤枠左)にあり、それとロマネ・コンティ(赤枠右)などが
同じカテゴリー・税金で、その下(黄枠左)のラフィット、マルゴー、ラトゥールと、
ブルゴーニュのプリュミエクリュ(黄枠右)が同じカテゴリー・税金になっています。

お気付きだと思いますが、ミュジニーやロマネ・サン・ヴィヴァンなどと
サン・ジョルジュが同じカテゴリーに位置付けられていたということです。

これらが示すことからも、等級付けというものは、
その品質でつけられたものでなく、政治的な理由でつけられたということなのです。

最後に新樽の哲学について

tonnellerie
新樽はブルゴーニュの作り手にとって非常に重要です。
私の造るボジョレーワインも同様で、すべて樽で熟成しています。

2001年にドメーヌを始めたとき、3つの製樽業者から樽を購入していました。
(フランソワ・フレール社、メルキュレー社、ドミニク・ローラン社)
私はすべてを知りたい性格ですので、
どういう風に樽を焼いているのかなど、いろいろと質問をしました。
そして、私のワインに合わせて樽を焼いてほしいと言いました。

ですが3社のうちの2社は難色を示しましたので、私は付き合いをやめました。

のこりの1社(※ティボーブログより、恐らくメルキュレー社)は、
「どのような要望かわからないが、とりあえず私と一緒に森に来てくれ」
と言って、樽の原木を見せに連れて行ってくれました。

そこで理解したのは、土壌とワインとの関係と同じように
素晴らしい品質の樽は、原木のある土壌、原木の個性から始まると思ったのです。

それからは自分で樽の元になる森や原木を選ぶようになり、
木質がワインに与える影響というのを感じるようになりました。

そして、どの原木がワインにどういう影響を与えるのか?
ということを学ぶにつれ、焼き方はそこまで重要ではなく、
原木の木目、色、質こそが重要だと気づいたのです。

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ですので、通常は収穫前にすべて樽を準備していますが、
私は醸造が終わり、ワインの質・個性を見てから樽を選ぶようにしました。
このような手順を踏むのは、ブルゴーニュでは大変珍しいです。

そして樽は通常40~50分かけて火を入れていくところ、
長くて12分しか火を入れません。そのため樽の色はとても白いです。
樽の特徴がワインにつくということは素材をダメにしているからです。

chauffe

私にとって新樽の比率はあまり興味がありませんが、
どの樽を使っているのか、どのような火の入れ方をしているのか
どんな素材を使っているのかが、より興味を持つ話題なのです。

樽はワインの味わいをしっかりとささえるサポーターであり、
決してワインより前にでて主張してはいけないし、
ワインを化粧してはいけないと思っています。

日本の方にはよく理解して頂けると思いますが、
魚など素材が良ければあまり調理をしなくても美味しく食べれます。
樽も同様に、素晴らしい品質の木があれば、焼き加減もほんの少しで
素晴らしい樽ができます。
そしてワインも同じく、80%が畑で仕上がっていると思います。

ーEND-

ティボー・リジェ・ベレール 来日セミナーレポート その1

ティボー・リジェ・ベレール 来日セミナーレポート その2

 

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